現代日本の保守

2025年10月21日(火)
保守とは、従来からの習慣、制度、考え方などを維持し、急激な改革に反対する思想のことですが、そこで守ろうとしている「従来からの習慣、制度、考え方」は時代によって、国によって、さまざまに異なります。例えばアメリカの保守が重視するもの(守ろうとするもの)は、小さな政府(経済的な自由)やキリスト教福音派(プロテスタント、ピューリタン)の思想と言われております。最近は日本でも、アメリカのトランプ政権(第1次、2017年~。第2次、2025年~)やMAGAブームの隆盛を見てそれを真似したいと思う人が増えたのか、自民党安倍派、參政党、日本保守党、高市新政権、日本維新の会など、保守層(ポピュリズム的保守)に支えられた政治が話題となる場面が増えてまいりました。

その日本の保守が守ろうとしているものは何かと考えると、それは現代日本(戦後日本)の政治や社会を根幹で差配してきた、「アメリカ」と「資本」なのではないでしょうか。

戦後日本は「アメリカ」に付き従うようにして政治や経済を回してきました。安全保障という言葉を使って「アメリカ」ばかりを見ている外交姿勢、その結果として最近の防衛力増強(軍備増強と武器輸出)、そして何と言っても日米地位協定に対する無頓着さ。最近の保守はアジア・アフリカから入って来る人への視線は極めて厳しい一方で、本来最大の外圧であるはずの日米地位協定に対してはだんまりです。

また保守は伝統的な家族制度(家父長制)や文化の維持を主張します。結局それは戦後日本の歩みを紐解くと、「資本」に従順な労働者と消費者の供給確保の仕組みだったのではないでしょうか。都市にサラリーマンを集めて、男は外で働き(長時間労働)、女は家で支えるという習慣化した役割分担。それで労働力が足りないとなると今度は女性も外で働き(ただし非正規・低賃金で)、そして家庭生活を丸ごと画一的な消費に落とし込む。これが伝統文化と呼ばれるものの一端です。そして地方と比べての都市優先の政策(票になるから)。画一的な生活・人生への押し込め(制御しやすいから)。だから多様性は嫌われます。

保守はよく反グローバリズムを唱えます。しかしそのグローバリズムを仕掛けた張本人であり、グローバリズムから莫大な利益と権限を得ている「資本」には何もモノ申さず、グローバリズムの影響で先進国(日本を含む)に流れてきた途上国からの労働者は攻撃します。

こうした保守の姿勢を「資本」は分かっているから、保守派が勢いを増すと(例えば高市政権が発足すると)、株価は上がります。保守の唱える積極財政は所詮、「資本」を傷つけないよう配慮されます。例えば大阪副都心などの美名を用いて、「資本」のためにインフラ投資機会を増やし利益を誘導します。保守は「資本」の効率を上げるために基調としては円安です。円安は消費者にとっては重荷です。保守は「資本」を傷めないよう、脱炭素には否定的です。(ちなみにこの脱炭素を否定するところなど、アメリカのトランプ政権の物まねです。)

保守とは総じて、強いもの(アメリカや資本)には愛想を良くし、弱いものにはこわもての姿勢で臨むもののようです。しかも集団で臨むという性質を持ち合わせているのでしょうか。 (この場合、その集団から外れた人は最悪です。) さらには従来からの出来上がった習慣や制度を守ることで、自分の側に権力を維持し、権力を強め、その得た権力を駆使して反対者を黙らせようとする性質があるのでしょうか。もしそうだとするとそれは全体主義的、権威主義的です。それは一人一人の個々人の、周りと同じ何かに頼っていないと不安でしょうがないという心理につけ込むものです。それは、他を圧倒するような強いカリスマを求めます。社会に「英雄」を生みたがるのも全体主義的、権威主義的な保守の傾向ではないでしょうか。

「保守」の対義語として「革新」という言葉が使われますが、「革新」も押しつけがましくなると「保守」と変わらなくなります。だから私は、「保守」の対義語には「自由」がふさわしいと考えます。

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